一盞の茶に、五行は巡る
Book title:
Tao
Book size:
Tea
Pages:
2010
Binding:
K
一盞の茶の中にも、
天地の理は宿っている。
木は、芽吹き。
大地から伸び、葉となり、茶となる生命。
火は、変化。
熱によって香りをひらき、葉の内なるものを目覚めさせる。
土は、育み。
茶樹を養い、器を生み、すべてを受け容れる。
金は、澄明。
余分なものを削ぎ、香味の輪郭を研ぎ澄ませる。
水は、還流。
茶葉に触れ、その記憶をほどき、一盞の中へ映し出す。
木は火を生み、
火は土へ還り、
土は金を生み、
金は水を生じ、
水は再び木を養う。
茶を淹れるという小さな営みの中で、
五行は絶えず生まれ、移ろい、還ってゆく。
一盞を飲むことは、
天地の巡りを、身体の内へ迎えること。
茶席とは、
人が自然を眺める場所ではなく、
人もまた五行の巡りへ還ってゆく場所なのかもしれない。